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著者:櫻井裕一(STeam Research & Consulting 代表)

企業調査の実践解説(3) 情報の宝庫「国立国会図書館」とは?



今回のテーマは「国立国会図書館」です。国立国会図書館とは「日本国内で出版されたすべての出版物を収集・保存する日本唯一の法定納本図書館」(Wikipedia)のことです。


企業調査になぜ国立国会図書館が必要かと言うと、インターネットの検索や前回解説したG-Searchなどのデータベースサービスでは得ることの出来ない情報がストックされているためです。調査対象の基礎情報がほしい場合などには必ず出向き、図書館に備え付けられた専用端末で対象会社の「会社名」や「代表者名」で検索を行い、雑誌に掲載されたインタビュー、専門誌の過去記事、さらには国立国会図書館でしか閲覧できない情報などを確認し、必要な情報をコピーして持ち帰ります。


例えばある上場企業の過去の「報告書」や「株主招集通知書」を確認する必要があった場合、通常であれば対象企業のコーポレートサイトやIR情報から閲覧するのですが、対象企業が過去に合併した場合などは、インターネットからでは閲覧できないことがあります。しかし国立国会図書館に行けば、それが手に入るのです。


以下に国立国会図書館の利用方法について簡単にまとめます。


◆国立国会図書館の概要

 ・国立国会図書館は国会に属する唯一の国立の図書館です。

  〒100-8924 東京都千代田区永田町1-10-1 03-3581-2331(代表)

 ・本館と新館(東京)、関西館、国際子ども図書館から成り立っています。

 ・企業調査で利用するのは、本館と新館(東京のみ)になります。

 ・日曜、祝日、第三水曜日は休館です

 ・開館時間は9時30分~19時(土曜日は17時)です

 ・利用するにはまず「利用者登録」が必要で、登録には氏名、住所、生年月日が記載された本人確認書類が必要です。

 ・登録なしの当日利用のみも可能ですが、閲覧のみしかできません。

 ・館内はB5判以上の物を持ち込む事ができません。コインロッカーを必ず利用するため、100円玉のが必要です(利用後に返却されます)。

 ・新型コロナウイルスの影響により現在は事前利用申込のうえでの抽選になっています。


◆国会図書館のメリット

 ・図書、新聞、雑誌、地図、音楽・映像資料、議会官庁資料などありとあらゆる資料を閲覧する事ができます。

 ・それらの資料は複写する事も可能です。

 ・インターネット検索や四季報、各信用調査会社の情報、会社のIR資料からは得られない情報が沢山あります。

 ・なかでも専門誌の過去のインタビュー記事などは貴重です。

 ・さらに国会図書館でしか見れない資料も多数あります。

 ・国立国会図書館のオンラインでキーワード検索も可能です。予め探してから行くと効率てきです。

 

チームが手掛けた具体例を2つほどあげます。


1つは、某通信販売会社のコンプライアンスに問題はないかという依頼を受けて調査を開始した時のことです。基本通り登記簿謄本を上げて、関係人物を含め調査したものの、気になる悪評などは出てきません。そこで、国立国会図書館リサーチで検索してみると、過去にその企業の監査役が暴力事件を起こし、その監査役が有資格者であったことから、雑誌データベースにはない媒体に掲載されていた事が判明しました。結果、逮捕・起訴もされていない事件でしたが、監査役という立場の人間がそういった騒動を起こしていた事実は調査のクライアントにとっては有益な情報となりました。


もう1つは、ある投資家からの依頼で、某パチンコメーカーに投資をするうえで、オーナー経営者の実像や考え方などを知りたいが、インターネットにはまったく情報がなく、知っている人も周りにまったくいなくて困っているというものがありました。そこで国会図書館オンラインで検索を行い、2000年以降のすべての資料を閲覧、複写して持ち帰り精査することにしました。すると古い雑誌にその経営者のインタビュー記事が見つかり、そこにはインタビューアーの名前も記されていました。インターネットで検索すると、そのインタビュアーは現在もフリーライターとして活動している事が判明。そこでアポイントを取って、インタビューをした経緯や人物像を聞くことに繋がりました。

 

次回は「閉鎖事項全部証明書」の重要性について解説したいと思います。

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